投資は怖いという幻想

投資は元本が減ることがあるから怖い
投資の話をすると、こういったことを言う人がいます。
私自身、職場でも投資をしていることはオープンに話しているのですが、「投資は怖いからやらない」ということを言われます。
確かに、投資をすると元本が減る可能性があります。
銀行預金であれば、元本は減ることはありませんし、微々たるものですが金利もつきます。
ただ、一度考えてみていただきたいのですが、お金の本質とは何でしょうか。
お金に絶対的な価値があるということはなく、あくまでも「モノ」と交換できる価値がある程度です。
そしてその価値は変動します。
日本はここ30年間ほどほとんどインフレしていませんでした。
しかし、コロナ禍が明けた頃から、コストプッシュ型のインフレが目立ちます。
食料品など生活に欠かせない商品もインフレの波が押し寄せています。いくつかの品目でまとめてみました。
- 魚介類
- 価格上昇率:約25.3%
- 背景:漁船の燃料費や養殖魚の飼料費の高騰が影響しています。
- 肉類
- 価格上昇率:約17.7%
- 背景:飼料価格の上昇や物流費の増加が主な要因です。
- 野菜・海藻
- 価格上昇率:約21.3%
- 背景:天候不順や輸送コストの増加が影響しています。
- 果実
- 価格上昇率:約21.1%
- 背景:輸入果実の円安による価格上昇や国内生産コストの増加が要因です。
- パン
- 価格上昇率:約20.5%
- 背景:小麦価格の上昇やエネルギーコストの増加が影響しています。
これらのデータは、2020年1~3月(コロナ前)を基準とし、2024年8月時点での価格変動を示しています。全体的に、食品関連の価格上昇が顕著であり、家計への影響が大きくなっています。
約4年間で17%〜25%程度の上昇です。
流石に、今後もこの幅でインフレが継続するとは思いたくないですが、インフレが治ることはないと思われます。
インフレが起こるということは、ものの価格が上がるということです。
1,000万円のものが4年で20%インフレした場合、価格は1,200万円になります。
お気づきかと思いますが、1,000万円を預金していた場合、1,001万円程度にしかならないため、4年前に買えていたものが買えなくなります。
投資をせずに銀行預金をするということは、インフレには対応できないんじゃないか?ということがわかっていただけると思います。
物価上昇による日本円の価値の減少
インフレ、物価上昇が起こる場合、相対的に日本円の価値が減少するということはわかりました。
では、このまま、今後もインフレが続くのかどうかということが気になります。
この上がり幅でのインフレが継続することはないんじゃないかと思いますが、円安も継続中ですし、インフレは今後も収まることはないと思われます。
また、政府はインフレ目標として、毎年2%の物価上昇を目標としています。
物価上昇はお金の価値を減少させるのに、政府が目標にしているのはなぜ?ということは置いておいて、目標は2%らしいです。
なので、計画通りインフレが進むと、お金の価値は毎年2%ずつ減少することになります。
2%って大したことない割合に思えますが、2%が10年続くと、1.2倍程度の差になります。
先ほどの例のように、1,000万円で買えていたものが、10年後には1,200万円払わないと買えなくなるということです。
インフレって恐ろしいのが、お金自体が減るわけではないので、一見すると影響がわかりづらいことです。
日々の生活の中で、高くなったなとは思うものの、お金自体が減っているわけではないので影響はそこまでない気がする。
ただ、使えるお金が変わらない中で、ものの値段が上がる場合、買える数や量が減ったり、廉価なものに置き換える必要が出てきます。
じわじわと生活が苦しくなるイメージです。
このインフレに対応するには投資をするしかないです。
投資をしない=言い換えれば日本円への集中投資と言えます。
日本円で持ち続けるということは、日本円に投資をしているとも言えます。
最近円安が進行しているという話を聞きますが、これも日本円に集中投資しているとわかりやすいですね。
日本円の価値が減少することが円安。
円安になることで、外国からの輸入に頼っている商品の価格が上がる。
外国から輸入する商品が関わる加工品のコストが上昇することで、それに伴い商品の価格も上がる。
こういった流れで、最近の日本のインフレは大きくなってきています。
インフレがない世界であれば、日本円で生活する限りは問題がないですが、今はインフレのある世界になってしまいました。
さて、投資の原則についてですが、投資は分散が重要です。
地域分散、銘柄分散、時間分散、種類の分散の大きく4つの分散が重要と言われています。
地域分散:世界に広く分散したほうがいい
銘柄分散:複数の企業に投資したほうがいい
時間分散:ドルコスト平均法を活用しよう
種類分散:現金、株式、債券、不動産など
日本円に集中投資するということは、この重要な4つの分散を全て無視することになります。
「たまごは一つのかごに盛るな」という格言があります。
かごを落としたら全ての卵が割れてしまうから、いくつかのかごに分けて盛っておくことでリスクを分散できることを指しています。
日本円だけに投資をしていても、インフレに負けてしまうので、投資が必要ということが感覚的にわかったんじゃないでしょうか。
これまで、投資をすると利益の20%が税金で取られていましたが、今は新NISAを活用すれば、元本1,800万円分までは非課税で運用できます。
1,800万円投資をする必要はなく、あくまで枠が1,800万円なだけなので、少額でもいいからまずは投資を始めてみることが重要です。
日本円で持ち続けるということは、日本円に集中投資をすること。
集中投資をするということは、インフレに対応できず、非常に危険であるということを意識していただいて、時間のある時に投資を始めてみてもらえればと思います。

こちらの記事で投資の始め方を解説しているので、よかったらこちらの記事も参考にしてみてください!